はじめに
前回は、GX-ETSへの対応を社内で円滑に進めるための「社内説得術」について、経営層への経営インパクトとリスク管理の視点からの説明、そして現場への具体的な貢献と意義の共有を通じた社内合意形成の重要性を解説いたしました。
今回は、GX-ETS制度への対応を継続的に進める上で不可欠な「情報収集のすすめ」に焦点を当ててまいります。制度は常に進化しており、最新の情報を正確に把握し、理解を深めることが、適切な対応と企業の持続的な成長に繋がります。
なぜ継続的な情報収集が重要なのか?
GX-ETSは、まだ発展途上の制度であり、今後も制度設計の変更や運用ルールの見直しが行われる可能性があります。また、国内外の脱炭素化の動向も日々変化しており、これらの情報を継続的に把握することは、企業が適切な戦略を立て、迅速に対応するために不可欠です。
情報収集を怠ると、以下のようなリスクが生じる可能性があります。
| リスク | 概要 |
|---|---|
| 制度変更への対応遅れ | 最新のルール変更に対応できず、不適合や罰則のリスクを負う。 |
| 競争環境の変化への対応遅れ | 他社の取り組みや国際的な動向を把握できず、競争優位性を失う。 |
| 誤った意思決定 | 不正確な情報に基づいて、誤った投資判断や事業戦略を策定してしまう。 |
これらのリスクを回避し、GX-ETSへの対応を成功させるためには、信頼できる情報源から継続的に情報を収集し、制度理解を深める努力が不可欠です。
制度理解を深めるための主要リソース
GX-ETSに関する情報は多岐にわたりますが、特に以下の公式情報源や学習リソースを積極的に活用することをおすすめします。
1. 政府資料・公式情報源
GX-ETSは政府が主導する制度であるため、経済産業省や環境省といった公的機関が発信する情報が最も信頼性が高く、制度の根幹を理解する上で不可欠です。
| 発行者 | 情報名 | 概要 | 活用ポイント |
|---|---|---|---|
| 経済産業省 | GX-ETS関連情報 | 経済産業省のウェブサイトでは、GX-ETSの制度概要、関連法案、ガイドライン、Q&A、最新の動向などが包括的に公開されています。特に、制度のフェーズ移行や排出枠の有償化に関する情報は、ここで確認することが重要です。 | 定期的にウェブサイトを訪問し、更新情報をチェックする。制度説明会やパブリックコメントの募集なども確認する。 |
| 環境省 | 温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度関連情報 | GX-ETSの排出量算定は、温対法に基づく算定・報告・公表制度の考え方を基礎としています。環境省資料として公開されている算定・報告マニュアルや排出係数データベースは、排出量算定の実務を行う上で必須のリソースです。 | 最新の算定マニュアルや排出係数をダウンロードし、自社の算定に適用する。不明な点はQ&Aを参照する。 |
| その他関連省庁の資料 | 財務省など、GX関連の予算や税制に関する情報を提供する省庁の資料も、GX-ETSが企業の財務に与える影響を理解する上で役立ちます。 |
2. 専門セミナー・ワークショップ
政府や業界団体、コンサルティング会社、そして弊社のような検証機関が開催する専門セミナーやワークショップは、制度理解を深める上で非常に有効な学習リソースです。
| 媒体 | ポイント |
|---|---|
| 制度説明会 | 経済産業省や環境省が主催する制度説明会では、制度の最新情報や具体的な運用方法について、直接担当者から説明を聞くことができます。 |
| 実務者向けワークショップ | 排出量算定の実務や第三者検証の準備など、具体的な課題に特化したワークショップでは、実践的な知識やノウハウを習得できます。 |
| 検証機関主催セミナー | 弊社のようなGX-ETSにおける第三者検証機関が主催するセミナーでは、検証の視点や指摘されやすいポイントなど、実務に即した情報を提供しています。 |
活用ポイント: 疑問点を直接質問できる機会として活用する。他社の担当者との情報交換を通じて、課題解決のヒントを得る。
3. その他学習リソース
| 媒体 | ポイント |
|---|---|
| 業界団体・シンクタンクのレポート | 各業界団体やシンクタンクが発行するレポートは、特定の産業におけるGX-ETSの影響や、脱炭素化のトレンドに関する深い洞察を提供します。 |
| ニュースサイト・専門誌 | 気候変動、サステナビリティ、ESG投資に関する専門ニュースサイトや雑誌は、最新の動向や識者の見解を把握する上で役立ちます。 |
まとめ
GX-ETS制度への適切な対応と企業の持続的な成長のためには、環境省資料や経済産業省の公式情報、GXリーグ情報といった信頼できる情報源から、継続的に情報を収集し、制度理解を深めることが不可欠です。
また、専門セミナーやワークショップに積極的に参加し、実践的な知識やノウハウを習得することも有効です。
GX-ETSは、企業にとって新たな挑戦であると同時に、持続可能な社会の実現に貢献し、企業価値を向上させる大きな機会でもあります。制度を正しく理解し、適切に備えることで、この変革の時代を乗り越え、新たな成長を掴むことができるでしょう。
当社は、経済産業省のGX-ETSにおける第三者検証機関として登録されており、独立した第三者検証機関としてGX-ETSにおける排出量実績報告をサポートいたします。
GX-ETS第三者検証サービスの詳細はこちらをご覧ください。
GX-ETS 第三者検証サービス
お客様が算定・報告されたGHG排出量データが、GX-ETSのガイドラインや国際基準(ISO 14064-3など)に準拠しているかを客観的に評価・確認します。
また、GX-ETSへの対応でお困りの際は、当社までお気軽にご連絡ください。
お問い合わせ参考資料
経済産業省「GXリーグ公式サイト:排出量取引制度(GX-ETS)」
https://gx-league.go.jp/action/gxets/
内閣官房GX実行会議資料「GX実行に向けた基本方針」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/gx_jikkou_kaigi/index.html