はじめに
持続可能な社会の実現が企業に強く求められる現代において、LCA(ライフサイクルアセスメント)は製品やサービスの環境負荷を定量的に評価し、改善策を導き出すための重要な手法です。特に日本国内の企業にとって、国内の産業構造やデータ特性に最適化されたLCAソフトウェアの存在は、LCA活動を効率的かつ高精度に進める上で不可欠です。
本記事では、国産LCAソフトウェアの代表格である「MiLCA(みるか)」に焦点を当て、その概要、強力な機能、メリット・デメリット、価格体系、そしてどのような企業や研究機関に最適なのかを詳細に解説します。MiLCAの導入を検討されているLCA担当者の皆様が、自社に最適なツールであるかを見極めるための判断材料を提供します。
1. MiLCAの概要と開発元
MiLCAは、株式会社LCAエキスパートセンターが開発・提供する国産のLCA算定支援ソフトウェアです。2010年の発売以来、大学や国の研究機関、製造業を含む幅広い業界で導入されてきました。2024年10月にはクラウド版としてリニューアルされ、さらなる機能拡張と利便性向上が図られています。
本ソフトウェアは、「LCAエキスパート」と呼ばれるLCAの専門家がユーザーとの対話を通じて開発に携わっており、LCA実務者の視点に立った使いやすさが特徴です。日本の産業構造やデータ特性を深く理解し、国内のLCAニーズに特化したソリューションを提供しています。
2. 機能と特徴:MiLCAのメリット・デメリット
MiLCAは、日本国内でのLCA実務に特化した強みを持つ一方で、いくつかの考慮すべき点もあります。
・メリット
1. 日本国内データに強み(IDEAデータベース標準搭載)
最新版であるAIST-IDEA Ver.3.4が標準搭載されており、日本の産業構造やデータ特性に合わせたLCI(ライフサイクルインベントリ)データを利用できます。これにより、日本国内の製品・サービスのLCAを高い精度で実施することが可能です。
2. 直感的な操作性と低い学習コスト
直感的で使いやすいGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)が導入されており、LCA初心者から経験者まで、誰でも簡単に本格的なLCA算定が可能です。計算はフロー図を描きながら実施できるため、LCAの構造を視覚的に理解しやすい設計となっています。
3. カーボンフットプリント(CFP)算定・EPD取得支援
CFP算定に特化しており、気候変動だけでなく多領域での環境影響評価が可能です。また、SuMPO環境ラベルプログラム(SuMPO EPD)のEPD検証用データ作成をサポートするなど、EPD(環境製品宣言)の円滑な取得を支援します。
4. 高度な分析機能
環境影響の要因分析やサプライチェーン全体の可視化機能を搭載しており、環境負荷のホットスポットを特定し、効果的な改善策を導き出すための深い洞察を得ることができます。クラウド版への移行により、算定速度も大幅に向上し、他システムとのデータ連携機能も強化されています。
5. 充実した日本語サポート体制
環日本語での技術サポートやトレーニングが充実しており、国内のLCA専門家との連携も容易です。導入前のコンサルティングから、導入後の操作トレーニング、分析結果の解釈や改善策の検討まで、きめ細やかな支援が受けられます。
・デメリット
1. 国際データベースの段階的な導入
現状、主要なデータベースはAIST-IDEAが中心であり、世界標準のecoinvent(欧州)データベースの本格的な導入は段階的に進められる予定です。グローバルなサプライチェーン全体を評価する場合や、国際的な比較分析を行う場合には、SimaProのような国際データベースが充実したソフトウェアに一日の長がある可能性があります。
2. 高度な分析機能の特化性
感度分析や不確実性評価といった特定の高度な分析機能については、SimaProなどのグローバルツールと比較して、その詳細な言及が少ない場合があります(ただし、環境影響の要因分析は可能です)。
3. 価格・ライセンス体系
MiLCAのライセンスは年間サブスクリプション形式で提供されており、企業の規模や利用目的に応じた価格体系が設定されています。
MiLCA クラウド版(AIST-IDEA Ver.3シリーズ搭載)年間ライセンス価格(税別)
| ライセンス種別 | 1ライセンスあたりの価格 | 3ライセンスまでの価格 | 4~10ライセンスの価格 | 11~100ライセンスの価格 |
|---|---|---|---|---|
| 一般企業 | 800,000円 | 基本料金80万円 | 15万円/ライセンス | 14万円/ライセンス |
| 中小企業等 | 400,000円 | 基本料金40万円 | 7.5万円/ライセンス | 7万円/ライセンス |
中小企業等:中小企業基本法で定義される中小企業者、小規模企業者、社団・財団法人、省庁・自治体・NPO、アカデミーが対象。
既存MiLCAv3ユーザー向け割引:既存のスタンドアロン版MiLCAv3ユーザーがクラウド版に初回更新する場合、2025年9月末まで割引価格が適用されます。
ecoinvent版:ecoinventデータベースを搭載したライセンスも提供予定で、価格は別途設定されます。
※上記価格は2024年10月時点のものであり、予告なく変更される場合があります。
4. 想定される利用者と活用シーン
MiLCAは、その日本市場への最適化と使いやすさから、以下のような企業や組織に特に適しています。
・国内サプライチェーンを中心とする企業
原材料調達から製品販売、廃棄まで、事業活動が主に日本国内で完結する製造業、流通業、サービス業など。
・LCAをこれから始める企業や中小企業
直感的な操作性と充実した日本語サポートにより、LCAの専門人材が不足している企業や、LCA導入のハードルを下げたい中小企業。
・カーボンフットプリント(CFP)算定・EPD取得を目的とする企業
CFP算定に特化した機能とEPD取得支援を活用し、環境情報開示を効率的に進めたい企業。
・データドリブンなモノづくりを推進したい企業
サプライチェーン全体の環境負荷を可視化し、ホットスポットを特定することで、製品設計の改善や持続可能な経営戦略にLCA結果を活かしたい企業。
・大学、研究機関、NPO等
アカデミー向けのライセンス体系が用意されており、教育や研究活動におけるLCA実施に活用できます。
4. 想定される利用者と活用シーン
SimaProは、その豊富な機能とグローバル対応力から、以下のような企業や研究機関に最適です。
・グローバルサプライチェーンを持つ大手製造業
製品の原材料調達から製造、流通、使用、廃棄に至るまで、国際的なサプライチェーン全体にわたる環境負荷を算定し、Scope 3排出量を高い精度で開示したい企業。
・LCAを本格的に実施する企業・コンサルタント
詳細かつ包括的なLCAを実施し、製品設計の改善、環境性能の最適化、EPD作成、国際的な環境報告に対応する専門家。
・学術研究機関
LCAに関する最先端の研究、国際比較研究、新しいLCA手法の開発などにおいて、その包括性とデータ品質から基盤データとして利用したい研究者。
・環境製品宣言(EPD)の作成を目指す企業
国際的なEPDプログラムに準拠した製品環境宣言を作成する際に、信頼性の高いLCIデータと高度な分析機能を活用したい企業。
・複数のシナリオを比較検討し、戦略的な意思決定を行いたい企業
感度分析やパラメーター分析、シナリオ分析機能を活用し、製品開発の初期段階から環境影響を考慮した設計(DfE: Design for Environment)を進めたい企業。
まとめ
MiLCAは、日本国内のLCA実務に特化し、AIST-IDEAデータベースの強みと直感的な操作性を両立させた国産LCAソフトウェアです。
カーボンフットプリント算定やEPD取得支援、そして充実した日本語サポートは、特に国内市場を重視する企業やLCA初心者の企業にとって大きなメリットとなります。クラウド版への進化により、今後も国内外の多様なニーズへの対応が期待されます。
適切なLCA算定ツールの選定は、企業の環境負荷を正確に把握し、効果的な削減策を導き出すための第一歩です。
ALCAでは、LCAの専門家がお客様の目的や状況に合わせて、LCA算定ツールの選定のサポートをいたします。
まずはお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ参考資料
LCAソフトウェア MiLCA
https://www.milca-milca.net/
新クラウド版LCAソフトウェア「MiLCA(みるか)」の販売を開始!
https://sumpo.or.jp/news/info_milca_20241021.html
クラウドサービスMiLCAの販売を開始
https://www.milca-milca.net/info/IA6fIbkQ
新クラウド版LCAソフトウェア「MiLCA(みるか)」を10月中旬より販売開始!
https://www.lca-expert.co.jp/news/P8RuYhlE