はじめに

これまでの記事では、LCA(ライフサイクルアセスメント)のデータ品質向上や、MiLCASimaProGaBiといったLCAソフトウェア・ツールの比較について解説してきました。

LCAは、製品の環境負荷を定量的に評価し、企業の環境戦略を策定する上で非常に強力なツールですが、その実施には専門的な知識と経験が求められます。
特にLCAの導入初期や、複雑なサプライチェーンを持つ企業にとっては、外部の専門家の支援が不可欠となる場合があります。

本記事では、LCAのプロセスを効率化し、その結果の信頼性を飛躍的に向上させるための「コンサルティング」の活用と、「第三者認証」取得のメリットについて解説します。

LCAにおけるコンサルタント活用のメリット

LCAの専門家であるコンサルタントを活用することは、LCAをスムーズかつ効果的に導入・運用するための近道となります。

1. 専門知識と経験の補完 LCAは、ISO 14040/14044といった国際規格への準拠、適切なLCIデータベースの選定、複雑な計算モデルの構築、結果の解釈など、多岐にわたる専門知識を必要とします。
社内にLCAの専門家がいない場合でも、コンサルタントはこれらの知識と豊富な経験を提供し、LCAの各ステップを適切に導きます。
2. プロセス効率化とリソース削減 LCAの実施には、膨大なデータの収集・分析に多くの時間と労力がかかります。
コンサルタントは、効率的なデータ収集手法の提案、LCAソフトウェアの操作支援、複雑なモデリングの代行などにより、社内リソースの負担を軽減し、LCAプロセス全体の効率化を支援します。
これにより、企業は本来の事業活動に集中しながら、LCAを推進できます。
3. 客観的な視点と課題解決 社内だけでは見落としがちな環境負荷の「ホットスポット」の特定や、改善策の検討において、コンサルタントは客観的な視点から分析を行い、最適な解決策を提案します。
例えば、サプライチェーンの特定の段階でデータが不足している場合の代替データの提案や、不確実性分析の実施など、LCAの信頼性を高めるための具体的なアドバイスが得られます。

第三者認証取得のメリット

LCAの結果は、企業の環境への取り組みを対外的に示す重要な情報となります。その情報の信頼性を最大限に高めるために有効なのが、第三者機関による認証(検証)です。

1. LCA結果の信頼性向上 第三者認証は、LCAの実施プロセス(ゴールとスコープの設定、データ収集、計算方法、結果の解釈など)が国際規格(ISO 14040/14044)に準拠しているか、また、結果を客観的かつ妥当であるかを独立した専門機関が評価し、保証するものです。
これにより、LCA結果の信頼性が飛躍的に向上し、ステークホルダーからの評価が高まります。
2. グリーンウォッシュリスクの回避 近年、企業の環境に関する主張が実態と乖離している「グリーンウォッシュ」が問題視されています。
第三者認証は、LCAの結果が科学的根拠に基づいていることを証明するため、グリーンウォッシュと批判されるリスクを大幅に低減し、企業の環境コミュニケーションの透明性を確保します。
3. 対外的な評価向上と市場競争力の強化 認証されたLCA結果は、統合報告書やサステナビリティレポート、エコラベル(EPDなど)の取得において、その情報の裏付けとなります。
これにより、投資家、金融機関、顧客、規制当局など、様々なステークホルダーからの企業の環境パフォーマンスに対する評価が高まり、持続可能なビジネスにおける競争優位性を確立できます。
4. 国際的なビジネス展開の促進 ISO規格に基づく第三者認証は国際的に通用するため、海外市場での製品展開や、グローバルなサプライチェーンにおける環境情報開示の要請に応える上で有利に働きます。

コンサルタントと第三者認証の連携

LCAの導入から対外的な情報開示までを円滑に進めるためには、コンサルタントの支援と第三者認証の組み合わせが非常に効果的です。

コンサルタントがLCAの実施を専門的にサポートし、その結果を第三者機関が検証することで、LCAのプロセス全体の信頼性と効率性が最大化されます。

まとめと次のステップ

LCAの導入と運用において、コンサルティングの活用は専門知識の補完とプロセス効率化に貢献し、第三者認証はLCA結果の信頼性を保証し、グリーンウォッシュのリスクを回避する上で不可欠です。これらを活用することで、企業はLCAのメリットを最大限に引き出し、持続可能な経営を強化できます。

LCA結果の客観性や信頼性にご不安がある場合は、ALCAのLCA検証サービスをご検討ください。
専門家が貴社のLCAプロセスと結果を厳正に評価し、対外的な信頼性向上をサポートいたします。

状況に応じては、各分野の実績が豊富な他社コンサルティングやLCA専門家をご紹介することも可能です。

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次回は、LCAを取り巻く国内外の環境規制の最新動向や、カーボンフットプリント(CFP)義務化、デジタル製品パスポート(DPP)などの具体的な動き、そしてLCAで先行するために企業が取るべき戦略について解説します。